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author 米 [write]

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自転車エクソダス


(逃亡劇)

キィキィとペダルを漕いで真っ直ぐ前を見据えたまま振り返らず、俺はぽつりと呟いた。

「逃げよう」

何から。何処から。どうして。どうやって。込み上げる言葉すら今は飲み込んで目を閉じて、頬を撫でる生暖かい風にふるりと肩を震わせたふりをして、そっと背中に寄り添って。腕を回してくれさえすればそれを良いように答えと受け取るから、君を苦しめるこの痛みの世界から逃げだそう。
さながら俺は君を此処から連れ出す王子様。そして君は身動き一つままならない、心優しいお姫様だ。君はきっと残して行くものに負い目を感じるだろうけどそれでも俺は、俺は。

「一緒に、出来るだけ遠くに」

壊れていく君の心を見たくないから。例え泣いても連れて行く。
ペダルを漕ぐ俺の背中にこつりと触れた額が微かにだけれど、頷いた気がした。

(それが例え束の間の逃亡劇でも)
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2008.11.27(Thu)





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