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author 米 [write]

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さようならの時間


(墜落orHOPELESS後)

(ただ、本当に優しい温もりに涙が溢れた。この手をこの温もりをこの声をオレは知っている。オレはこの手にいつだって励まされて背中を押されていて、一緒に隣にいた。視界を遮る布に吸い込まれてしまう涙だけれどそれでもオレを呼ぶ声はそれを気付いていて、気付いてくれていて、でも思い出せないその声の主はオレの脳を酷く揺さぶった。そして壊れ物みたいにそっと触れてくる手は感触だけだけれど骨太で大きくて少し、汗ばんでいたけれど堅い皮膚をしている。降り注ぐ甘いキスもオレの溢れる涙を更に助長させて痛かった、悲しかった、苦しかった。でも、やっぱり嬉しかった。それは落ちぶれて汚れてしまったオレには余りにも勿体無くて、たったそれだけの些細な仕草が胸がいっぱいになって息が詰まるくらい幸福感を呼んだ。これが、この先も永遠に続くだろう快楽と痛みの綯い交ぜになった絶望の中で溺れるオレに唯一投げ出された一瞬の夢でも構わない。この束の間の幸せだけでオレはもう、大丈夫。克哉、とオレを呼ぶ苦しそうな声に言葉を返したいけれどなんて言ったら良いのか分からないんだ。オレはもうお前の名前を思い出せない。お前まで泣き出しそうに歪んだ声を止める事が出来ない。ただ抱き締めてくれる力強い腕はこの空間には初めてで背筋が戦慄いた。ありがとう、ありがとう。オレはお前を呼べないけど、これだけは。覚えておいて)

(手を伸ばしてくれてありがとう。抱き締めてくれてありがとう。キスをしてくれてありがとう。名前を呼んでくれてありがとう。俺を探してくれて、求めて、迎えに来てくれてありがとう。そしてこんな痛ましくてしょうがないだろう格好を見せてしまって、ご免)

(  )

(オレは、戻れないから)
(これでさよなら)



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2008.07.03(Thu)





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