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author 米 [write]

愛情の中に在る劣等感


いっそ泣きたくなるぐらいに幸せだと思うんです。

キクチからMGNに引き抜かれ平日も休日もずっとずっとあなたの傍に毎日いられる事が。今までのモノクロとまでは行かないけれど色褪せていた人生が嘘みたいに、果報過ぎるんじゃないかと夢を見るような気持ちでオレはそう毎日思っているんです。
出会った切っ掛けや惹かれ合うまでの経緯を思えば今のような出来事は本当なら有り得ないのに、オレの心臓はどうしようもなくあなたに、御堂さんに惹かれてしまって気が付けば身も心も求めていた。

これは一種の中毒に似た思いでしょう。
オレは、御堂さんが笑うだけで口を開くだけで胸がざわついて仕方なくて、大きくも骨張った長い指がワイングラスを傾け喉を鳴らす仕草一つにすら身体の芯から熱が出たように頭がぼうっとしてしまうから。
克哉、とオレを呼ぶ低くて甘い響きのバリトンが耳に届くだけでとろりと意識が溶けていく。そんなオレに気付いているだろう御堂さんが腕を伸ばして腰を引き寄せて来れば簡単にその腕と胸に抱かれてしまって、優しくも暖かな温もりと仄かなシトラス系のフレグランスの香りに酔わされて吐息するばかり。

御堂さんの綺麗な顔立ちや姿はオレだけでなくきっと他の大勢の人を魅了しているに違いない。ううん、きっとでなく絶対に。切れ長の瞳は一瞬冷たさも覗かせるけれど本当は穏やかな面を持っているし紫掛かったような髪はさらさらとしていて艶やかで、すっきりした顔の輪郭に無駄な物なんて何もない。仕事が出来てスタイルが良くて、性格は厳しいけれど時折見せる優しさを知ればそれが真面目な根底から来るものだと理解出来るから。あなたはオレにはあまりにも勿体ない人だと。大切過ぎて、失くすのが怖い。

御堂さん、御堂さん。
…孝典、さん。

あなたが好き過ぎてどうしたら良いのか分からない。オレの腕には有り余るほど大きな存在であるあなたを、真っ直ぐに愛してくれるあなたを。
いつかこの幸せが淡く砕けてしまうんじゃないかと考える、こんなにも弱いオレを許して。

(今すぐあなたの腕に抱き締めて)
(キスして、離さないで)



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2008.07.03(Thu)





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