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author 米 [write]

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黄色い自転車


時間軸:四月

「あ、そうだ後ろ乗ってく?」

ついさっきまでギコギコ鳴っててしかも運転がフラフラだった自転車によく誘えたものだと内心で思ったけれど、確かにゴミ置き場に突っ込んだ花村を助けてロスした時間を思えば乗せてもらった方が早いかもしれない。(初日でも似たような珍事はあったけれど我関せずを貫いていて、まさか二日目にも同じ事が起こるとは思わなかったし昨日登校するまでクラスメイトだったのとは知らなかったのもあって一応改めて助けた訳だし)

早起きは苦じゃないけれど朝はやっぱりいつもよりぼんやりしてしまう頭を働かせている内に目の前の花村は携帯のディスプレイに表示された時間を見てヤバ!などと大声を上げた。そしてそのまま鞄を小脇に突っ立っていた俺の手を引っ張るやいなや、荷台のない自転車の後ろ側に足を引っ掛けさせて立たせ、自転車に再び跨った自分の肩に手を置かせると焦ったような顔で眉尻を下げ振り向いた。

「ワリィ、けどしっかり掴まっとけよ!このままじゃマジ間に合わなくなるからさ」

「…え、あぁ」

「うっし!じゃあ行くぞー」

案外、出席に関しては真面目らしいと俺は花村の印象を新たに塗り替えた。
悪いが見た感じは如何にも軽そうでお調子者っぽく見えるのに、そう言えば里中に借りていたらしいDVDを壊した時も自ら弁償を願い出て頭を下げていたくらいだ。まぁそれくらい人として当然だろうしその時はただ静観していたけれど、この町に住む人々は意外と気さくなのかもしれない。越して来たばかりで分からない事だらけの俺でも感じられるそれらに、花村がペダルを必死に漕ぐ度少し湿った風が頬を撫でて行くけれど、不思議とそれを肌寒いとは思わずにただ俺は手を置いた花村の肩に伝わる温度を無意識に気にしていた。

(なんだろう、花村の手って、)
(…コイツの手って意外と、)
(あったかい)
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2008.11.27(Thu)





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