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author 米 [write]

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花のようなともしび


幸せにしてあげたい。
あのふんわりとした溶けるような笑顔をもっと大きく花が咲くようなものに変えてあげたい。そう思うようになったのはいつからかな、否、多分出会ったその瞬間からまるで使命みたいに感じたんだ。
その上更に願いを言うようなら克哉さんがそうやって淡く笑う時、俺が必ず傍にいられたら嬉しい。あの人の悲しくて落ち込んだ時や嬉しくて笑顔を撒き散らす時、辛くて辛くて誰かに縋りたいと思う時、俺が直ぐ隣りにいて抱き締めてあげられたら、その手を握り締めてあげられたら、それが一番幸せだ。そうして俺が克哉さんの為だけに歌った曲を聴いて照れ臭そうにはにかんでくれたなら、それこそ俺の意義がそこに見付かるんだと思う。

俺より四つ年上の恋人は本当に優しくて強くて暖かいけどたまに掻き消えてしまいそうなくらい繊細だから。俺が、そんな克哉さんを支えて守っていけたなら良い。このふんわりした良い匂いを纏う人をどんな事があっても守り抜けるくらい。
克哉さん。好きだよ。



微睡むような意識が浮上すると目の前には穏やかな表情で笑うその人がいた。
あれから三年、実家からアメリカへと逃げて再び日本に帰国した俺達は今、事務所を設立して新曲のCM起用契約をMGNと結ぶ為に奔走していた。と言っても音楽しか知らない俺や他のメンバーじゃそんな事はまるきり分からないから事務所管理や契約に至るまでの流れは殆ど克哉さんの力なんだけれど。違う意味で俺達とは疲れてるだろう克哉さんは全く疲労も愚痴も見せずに俺を支えてくれている。支えたいと願いながら、実際支えられてるのは俺の方なんだ。
きっと、契約が結べた以降の話し合いやら何やら色んな事が漸く一段落したんだろう。心なしやつれたように見える白い顔にベッドへ寝転がったまま手を伸ばせば俺の髪を撫でていた克哉さんの手が止まってまるで小動物が甘えるみたいに頬を擦り寄せて来た。

「…克哉さん、可愛い」

ぽつり、寝起きの所為か少し擦れた声は小さく零れた。それを聞いた克哉さんは手に余るような困った感じの苦笑を浮かべて額にキスを落としてくれる。克哉さんからのキスは、本当に貴重だ。綿みたいにふわふわして、柔らかくて、撫でて来る手つきも優しさに満ちているから気が抜けてしまう。骨抜き、まさにそんな感じだ。

「ん…男に可愛いなんて言ってもしょうがないよ?太一」

「だってさぁ、克哉さんが天然なのが悪いんだもん」

「訳分かんないよ、それ」

「分かんなくて良いですよーだ。あ、でも克哉さん、そう言うの他の奴にしちゃ駄目だかんね」

「…益々分からないよ」

くすりとお互いに笑い合って寄せた顔を更に近付けてキスの雨。甘くて溶けちゃいそうなものから次第にビターで深みのある執拗なそれに変えて行って、綺麗な青み掛かった瞳が薄い水膜を張って揺れてしまえばもう陥落寸前の証。白い頬にほんのり熱が差して色気が出て来たのを見計らえばくたっと倒れ込む身体を抱き留めて下に押し倒してどちらともなく淡く吐息、最近シてなかったから止まれないかもな。これは。

「ン…ぅ、あ…っ太一…ぃ」

「…克哉さん、エロ過ぎ…キスだけでそんな顔してたらホント危ないよ」

「…ばか」

赤い顔を更に赤くして恥じらう俺の恋人。可愛くて綺麗で天然で、でもたまに鋭いとこを突く格好良い俺だけの克哉さん。
ずっとずっと愛してる。死ぬまでなんて今時ハズい台詞だけど、本気だよ。近い内必ずデカいヒット当ててあなたを満たせる男になるから。

「待っててね」

「?太一…?」

五十嵐太一、佐伯克哉を死ぬまで愛し尽くします。


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2008.07.03(Thu)





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