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author 米 [write]

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竹取物語 四


(竹取物語パロ)

「本多に秋紀くん…?二人が揃うだなんて珍しいなぁ」

太一を連れて屋敷の中に入ろうとした克哉に掛かった二つの声。
それを効いて足を止めた勝也は振り返る肩越しに太一の「げっ」と言う妙な声を聞いた気がしたが気にせずに笑って、『本多』と『秋紀』と呼ばれた二人に首を傾けた。
二人の内、大柄な体躯と身の丈をした男は右大臣阿部の御主人、またの名を本多憲二と言い、彼も太一同様気さくで明るい性格をしていました。 本多は以前克哉姫が外に出た時に道に迷ってしまった時に声を掛けてくれた上屋敷まで送り届けてくれた親切な青年で、身分は当然高いのですがそれを一切鼻に賭けた風もなくそれを知らずにいた姫自身親切な人だと認識して名前を尋ねた所、返った来た答えが実名であった為に本来の身分を知った時に慌ててしまいましたが本人は至った気にせず寧ろ太一同様気安く呼ぶよう言われました。どうやら貴族の中にもこうして心の広い友好的な人物がいるようです。
克哉姫はなんだか嬉しくてついつい、本当に気安く本多と名を呼んでしまうのですがそれを嬉しそうに笑い返してくれる彼にいつしか長い付き合いの友人関係のようになって行きました。

「まぁな…あのよ克哉、少し話があるんだが良いか?」

「っちょっと!克哉さんは僕と話しをするんだよ!邪魔しないでよね」

「へ?秋紀くんもオレに話しがあるの?」

いつになく歯切れの悪い物言いをする本多とは対照的にまるで毛を逆立てた猫のように声を挙げて言うのは小柄で華奢な体躯をした、まるで精巧な人形のように愛らしい少年…中納言石上麻呂こと須原秋紀でした。
秋紀はその見目の美しさから様々な噂の立つ有名な人物でした。貴族である上に年若く愛嬌もあり頭も冴え、色々な人々に手を伸ばされてはひらりと身をかわす姿は他方で人気があり、しかし秋紀自身は近頃そんな生活に飽き飽きしていたのです。まるで遊び尽くした玩具に用はないとばかりにまた新たな娯楽を求めて外を出歩いていると、そんな折に聞こえて来たのが最近よく耳にする姫の名と噂。
片桐と言う平民の家に育てられた一人の男子なのですがあまりの美しさ愛らしさから周りには姫と呼ばれ、その振り撒く優しさからか自然と愛されていると言うのです。秋紀は自分と似ているけれど全く異なる慕われ方をする克哉姫に興味を抱き今では屋敷となるまで大ききなった片桐家に出向きそこで秋紀曰く『運命の出会い』をしたのです。まぁ、今回はその話をするとややこしくなる上更に面倒になる為割合いと言う事で。
兎に角、太一だけでなく本多や秋紀の二人まで克哉姫にご執心なのです。

克哉姫は目の前にいる二人が自分に話があると聞き、そう言えば太一からも何か大事な話があるのだったと思い出しそうだとばかりに手を打ちました。

「そうだ、良かったら皆でお茶して行かないか?話は中で聞くからさ、それにこんな場所で立ち話も何だろう?」

「えーっ、そりゃないよ克哉さぁんっ!…折角の二人きりだったのにさぁ」

「だったらお前は帰って良いぜ。そんじゃ克哉、お邪魔するぜ」

「そうそう、嫌なら帰ってよ。て言うかアンタみたいな暑苦しい人も邪魔になるから居なくて良いけどね」

「何だとっ?!」

「っわぁー!ほっ本多止めろよ!と、兎に角中に入って…話はちゃんと聞くから、目立ってるって!」

性格の分かれきった三人の一触即発な雰囲気に慌ただしく駆け寄り、姫は本多の背を前に押しやって太一と秋紀の腕をそれぞれ引いて漸く中に入りました。姫は案外気苦労が多い様子。


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2008.07.03(Thu)





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