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author 米 [write]

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秘密の花園


♀花♀主(百合の園注意。二人とも女体化)

透けてしまいそうな灰色の髪を真っ白なシーツの上にふわりと散りばめて眠る彼女の寝顔はとてもあどけなかった。
普段は物静かに落ち着いた雰囲気を纏わりつかせ表情の色などを最小限に抑え込んだかのような容貌は酷く無機質のように見えていたけれど、こうしてゆっくりと穏やかに眠っているときだけはまるで隠しきれない素の面が晒し出されているようでそれを唯一知るのが他ならぬ自分だけなのだと言うことに仄かな優越を抱く。

そして起こさないようにと、そっと触れた薄紅色の唇。極々淡く薄い色合いながらもそれが何より彼女らしくて、花村は高校時代からこの柔らかくも吸いつくような弾力を持った唇を独占できている喜びに人知れず歓喜する。事後の余韻に深く浸り眠る恋人の身体は艶めかしくも何処か底なしの清らかさを併せ持ち相反する美のコントラストにいっそ目眩を起こしても不思議ではないくらいだ。

この繊細なイメージを抱かせ、そして無条件に守りたいと思わせる美貌の持ち主を自分は独占しているのだ。花村は緩む口元を隠しもせずにそっと恋人の葵にキスをして柔らかい唇同士を触れ合わせた。ふるり、睫毛までも灰色の瞼が微かに震えてつい笑みが零れてしまう。その愛らしい形の唇から語られた、小さな寝言を聞いたからだ。

「…よ…すけ……好き…」

「…葵、」

「ん…」

柔らかく滑らかな白い肢体を抱き締める。それが自分と同じ性別だとさえ信じがたいくらいに清らかであるのだから、もしかしたら自分の恋人は神様が作った最高の人形なのかもしれないと幻想めいた思いも時折考えてしまう。ならば、自分は神の寵愛する存在に恋をして貶めてしまった浅ましい生き物なのだろうか。そうして一人笑うのも少なくはない。
相手の胸部にある緩やかな曲線も自分の胸部にあるそれも同じであるのに、男にあって女にはないものもきちんと理解しているのに。ああどうして自分は男ではなくて女なのかと不意に湧き上がる刹那の嘆きに耐えるよう、疲労に眠る葵の華奢な身体を抱き寄せて皮膚から伝わる温もりにゆっくりと息を殺した。

(もし俺が男だったなら、葵のことを孕ませてずっとずっと腕に閉じ込めておけるのに)

この、どう鍛えたとしても結局は男のように強靱な肉体となれない腕ではもし葵を奪おうとする男が現れたとしても生身では勝てないだろう。それが悔しくて遣りきれなくて堪らない、だって自分はこんなにも葵を愛していて、葵も自分を愛してくれているのに。世間の醒めた目は自分たちの関係を蔑むだろう、自分のことならまだしも綺麗なままの葵にまで良からぬ嘲りの声が掛かるかも知れない。それだけは避けたくて表立った関係に身を晒すことは出来なくて、時に葵に寂しい顔をさせてしまうこともあるのだけれど。こうして肌を重ねてるときだけは唯一心が癒されて穏やかにいられるというのに。

(神様、どうか俺から葵を奪わないで)
(葵の笑顔は俺だけのものにして)

もし自分が男なら葵を守る力も、全てを手に入れる力も、留めておく力もあったのに。

「それでも、愛してる」

あどけない寝顔に泣きたくなるのを堪えて優しくキスをした。
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2008.12.28(Sun)





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