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author 米 [write]

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唇から伝染


(花主)

彼にでも不得手なものがあるのだと知った。

「ん…っ、ふ‥ぁ、あふ…」

銀色のようにも見える灰色の目が薄く膜を張った涙に潤んで綺麗だと思う。白い肌がうっすらと染まり上がって、同じ男なのにこうも自分と違って見えるのは惚れた弱みか、或いは彼自身が特別に美しいからなのか。(多分、半々だ)

「ほらほら、ちゃんと鼻で息しねぇと苦しいだろ?」

「だ‥ったら、しなきゃ良いのに…」

息を乱して熱っぽく吐息する。付け加えて減らず口を叩くそんなところもまた可愛くて、普段より年相応に見えて扇情的。白い喉仏がこくりと唾を嚥下するのを見れば今すぐにでもかぶりつきたいくらいに。

「それじゃ寂しいんだよ俺が」

「お前がか…」

「うん」

これが初めてのキスって訳じゃない。少なくとも俺は都会にいた頃もABCのCまでは経験済みで、相手はどうか知らないけど恋人になってからも何度か唇を重ねてみたけど一向に慣れる気配を見せやしない。別にそれを不満に思うことはない。普段は綺麗に澄ました顔を見せて周りに優しく頼れるリーダーを演じるこいつが、俺と二人きりの時だけはこうして弱さを見せること。それがどんなに小さなことでも、半ば心酔に近い目で見られることさえあるこいつの本当の姿を一片でも目にすることの出来る俺。それは何にも代えがたい優越感を生んで更には愛しさを沸き立たせるスパイスに変わる。

「な、もっかいキスして良い?」

ちゅっと軽いリップ音を立てて触れた唇の弾力。その色合いと言い甘さと言い、なんて魅惑的。

「…聞く前にしてるし」

「我慢出来なかったもんで」

「…駄犬」

ふわりと頬を染めて言う事じゃない、なんて思っても口にはしない。俺の可愛い恋人は弄りすぎると普段が大人しい分口が悪くなって手が出るのだから。
そっと桜色の頬にキスをまた落としてギュッと抱き締める。なんだかんだで俺はこいつに大層首ったけで惚れていて、恥ずかしがり屋な節のある恋人の機嫌を損ねないようにと柔らかく癖のない髪を撫で続けた。

(触れ合った唇からこの気持ちが伝わって溢れてしまえば良いのに)
(キスに慣れて、俺の色に染まっても、ずっとずっと離れないように)
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2008.12.06(Sat)





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