the latest //  案内・作品一覧


author 米 [write]

スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--)



ヒーローにお願い


(花→主)

(強くて優しくて頭が良くて、誰にでも暖かな笑顔を振り撒いて助けてと呼ばれればすぐに手を伸ばす。そんなヒーローに誰がした、何がした)
(ヒーローと呼ばれる彼が泣くのを必死で堪えるようになったのは、それを強いたのは他ならぬ俺達じゃあなかったのか)



どんな物語のヒーローだって最初はただの人だったんだ。
最初から恵まれていた訳じゃない、選ばれていた訳じゃない。それは言葉通り神様の気紛れだったんだ。
例えきっかけがどれだけ小さくても、大きく膨らんでいく悲劇の過程に巻き添えとなった彼は、何も言わず悲しみをこれ以上増やさないようにと笑って見せて、俺達はそんな彼にみんなで特別なんだと称賛と言う名の異質な言葉を投げ掛けていた。今思えばなんて愚かな話なんだろう。
そのことについて、明確に気が付いたのはもう冬の始まりと呼べる季節で、ヒーローと呼ばれた彼の大切な家族が不幸に見舞われた時に俺達が口々に発した言葉。それを彼が否定した時に俺達が更に発した言葉。無責任なのは俺達だった。勝手にヒーローの役目を押し付けて巻き込んだくせに意に沿わなければ怒りの声を上げる俺達はどれだけ傷つけたのか、泣きそうに揺れたあの瞳に今も胸はちりちりと焼き付いて、一人でいる時にそっと覗いた彼の背中の小ささ、その項垂れた頭に隠れて零れた涙の滴。俺は大切な人をなくした痛みも、なくし掛けた痛みも同様なのだと今更思い知った。そして俺達に罪を犯さないようにと掛けた制止の意味も漸く分かって泣きたいのは彼の方なのに勝手な話、泣きたくて堪らなかった。

人前で泣くことも出来ないヒーロー。間違いを犯してはならないヒーロー。迷って逃げてはいけないヒーロー。運命がどれだけ辛くても苦しくても前を向いて歩かなくちゃならない、それがヒーローの役目。
俺達が迷ってしまうから、彼もそれを分かっていて、怖くない訳がないのに必死で堪えて足を踏ん張って戦う『無敵のヒーロー』を演じてた。それを必要として求められたから。



今更かもしれない。
けど俺は叶うならお前を守りたいんだ。お前が泣きたい時には寄り添っていてやりたい。あの時の俺がそうされたように。今度は俺がしゃがみ込むお前に手を伸ばして引き上げたい。

(お前は俺のヒーローで、だけど特別なことなんて何一つない普通の人間なんだって。俺と同じ血の通う生き物なんだって、教えてやりたい)

だから俺の伸ばす手にもその手を伸ばして、触れてくれ。
スポンサーサイト

2008.12.06(Sat)





/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。