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author 米 [write]

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憧憬と恋の間


(♂りせ♀主)

東雲葵と言う人は笑うとき、まず口許をやんわりと吊り上げて灰色の目を眇める。声もなくただ空気に溶け込むような優しい笑い方で、軽く首を傾げればふわりと華やぐようではないけれど自然と人の目を惹く穏やかな表情を見せて性別を超越したかのような不思議な魅力で見たものの心を離さない。
一見冷たそうに捉えられがちな見た目もその穏やかな声と優しげな笑みに初見のイメージを払拭され、あの人の周りには気がつけば大勢の人がいた。分け隔てなく与えられる笑顔、降り注ぐ雨のようにしっとりと染み込む声、触れる手は何処か気遣わしげで繊細に、低くもなく高くもない微温湯のように心地がいい体温。
実の家族より家族らしい絆に結ばれた叔父と従姉妹の少女を深く愛してやまない葵は何よりも二人を大事にしていて、小さな手と大きな手と手を繋いでたまに三人揃って夕暮れの道を歩いているのが見えた。誰もあの三人の中には入り込めない、それをなんとなく知らしめる光景。

僕はそれをひどく羨ましく思っていた。浅ましい欲求。僕を抱き締めてくれた優しい腕、先行くあの人は必死に僕らを纏め上げ導いてくれるけど、他のみんなと違って僕には戦う為の術がない。出来る事と言えば精々サポートくらいで傷つくあの人を癒す事すら出来ない。そんな僕にあの人は優しく頭を撫でてくれて「りせは十分助けてくれてるよ」と言ってくれた。おばあちゃんがいるのに怪我したら心配させてしまうしと、そう言うあなたこそ叔父さん達みんなに心配されるのにと出掛かった言葉を飲み込んで、また少しだけ泣いた。何処まで行っても人の心配ばかりする人。僕の好きになった人。

好き、好きです。
あなたが。先輩が。
例えあなたの一番に、特別になれなくても、僕はあなたの優しさと強さに恋をし続ける。ねぇ、先輩。

あなたが傷つかなくても良いように僕も頑張るから、また笑ってね。
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2008.11.28(Fri)





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