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author 米 [write]

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さよならのキスなんてしないで


(真ED後足主:面会)

お別れだよ、とガラスを隔てた先であなたは柔らかく笑んだ。そんな笑顔、あの一年の中で見たこともなくて、それが本当のあなたなんですねと俺はそっと泣いた。あなたは泣かないでと最早触れる事すら叶わない、厚さ1cmくらいのガラスに手を触れて顔を寄せると囁いて、俺は泣いてませんとは言えずただ首を振るとはたはたと滴が舞った。…それは、会話をする為に小さく開けられた円形の穴から隙間を縫って通り、ひたりとあなたの指に付着する。すると痛ましげに眉を寄せたあなたはやがて泣き笑いのような顔を浮かべて俺を呼ぶ。

葵くん。はい、なんですか。…僕のことは忘れるんだ、もう、君は僕なんかを記憶に止どめちゃいけない。犯罪者の男なんて未来ある君には重荷すぎる。

それは、あまりに残酷で、けど一般的に見れば当然とも言える言葉だった。絞り出すように声を紡ぐあなたがどんな思いでそれを俺に向けるのか、分からない。そしてそれをどんな思いで俺が受け止めるのか、あなたは知る由もない。俺達はこうして似た存在であるのに未だ交わることすら叶わず分かたれたまま。

こんなにもこんなにも焦がれているのに。俺はあなたを、愛しているのに。なのに待ち続けます、とは言えなかった。それは嗚咽が喉に詰まっていたからなんかじゃなく不意に見たあなたの顔がそうさせたから。
リフレインする言葉。忘れろ、と、到底出来る訳もないその命令はだけどきっとあなたが今一番望んでやまないことで、俺は俺が望まなくてもあなたの願うこと全てを叶えたいとするから、だからきっと。戦慄く唇を動かして。

とおる、さん。
(もう二度と会いはしないでしょう)(けれどお別れではないのです)(この地に生きる限りあなたと私は繋がって、そして例え忘れたとしても心は覚えている筈だから)

今までありがとう。
(だからさよならのキスはしない)
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2008.11.28(Fri)





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